相続手続きの流れ
1 死亡(相続の開始)
人の死と同時に相続が発生し、故人の財産を法律のルールに従って、遺族等が引き継ぐことになります。
人生において、相続問題が発生することはそう何度もあるわけではありません。
たいていの場合、相続の経験も少ない中で、各種の手続きを踏んでいくことには常に不安がつきまとうことと思います。
財産に関する利害のもつれが相続のトラブルという新たな悩みを引き起こしかねません。
そのためにも、下記の流れに沿って、着実に手続きを進めることが大切です。
2 死亡届の提出
7日以内に市区町村役場に死亡届を提出します。
3 葬儀
4 遺言書の有無の確認と検認
☆遺言書の有無を確認
顧問弁護士に問合わせたり、被相続人の自宅や銀行の貸金庫等を調べます。
公正証書で遺言をしている場合を考え、最寄りの公証役場で遺言の有無を確認しましょう。
☆遺言書の家庭裁判所の検認(公正証書遺言を除く)
遺言書(公正証書遺言を除く)が見つかった場合は、家庭裁判所で検認手続きを受けなければなりません。
検認済みの証明がない遺言書では、不動産名義変更(相続登記)や預貯金等の手続きができなくなります。
5.相続財産(遺産)の調査開始(四九日法要をめどに)
☆遺言執行者の選任(必要に応じて)
・遺言の内容を実現するための手続きを行う人として「遺言執行者」を選ぶことができます。
遺言執行者は、遺言により指定することができます。又、相続人等が家庭裁判所に遺言執行者の選任をお願いすることもできます。
・遺言執行者には、未成年者と破産者以外の者であれば誰でも選ばれることができますが、スムースな相続手続きを進めるためには相続に詳しい弁護士等の専門家に依頼することもよいでしょう。
☆相続財産、債務の概略調査
・不動産
権利証や固定資産税の納付書等で相続対象の不動産を把握し、法務局で「登記事項証明書」を取得して被相続人の所有物であることを確認します。
併せて、「登記事項証明書」の権利部より残債務がある可能性を把握し、調査します。
・預貯金
被相続人の通帳を基に金融機関より「預金残高証明」をとって残高を把握します。
又、現存する通帳の金融機関以外にも口座がある可能性がありますので、それ以外の最寄りの金融機関にも被相続人の預金口座の有無を確認し、「預金残高証明書」の発行手続きをします。
6.相続人の確定
☆戸籍謄本を取り寄せて確認
相続人であることを証明するため、相続人の戸籍謄本が必要になります。
相続人が本籍地を変更している場合には、本籍地のあった全ての市区町村役場に戸籍を請求する必要があります。
(被相続人については、出生から死亡するまでの連続した戸籍謄本が必要となります)
☆相続人になれない場合
①相続欠格
遺言書を偽造、変造、破棄したり、又は隠す等の行為をした推定相続人は「法律上当然に相続人となる資格を失う」とした制度を「相続欠格」制度といいます。
「相続欠格」となった場合は、その時点で相続人となる資格を失いますので、家庭裁判所での手続きは不要です。
②相続人の排除
家庭裁判所に申立て手続きをすることで、被相続人に対して虐待等の一定の行為をした推定相続人の相続権を剥奪する制度をいいます。
家庭裁判所は、推定相続人の言い分を聞いた上で慎重に判断を下します。
7.相続財産の把握と評価
相続財産・債務の把握をし、それに基づき相続財産目録を作成します。
8.相続放棄、限定承認等の手続き(3ヶ月以内)
・相続財産には借金や保証人としての義務である「マイナスの財産」も含まれます。
預金や不動産等の「プラス財産」よりも「マイナス財産」が多い場合は相続放棄や限定承認の方法をとることができます。
・相続人は「自分への相続開始があったことを知ったときから3ケ月以内(「熟慮期間」と呼ぶ)」に相続放棄、限定承認の手続きをとらない場合には「単純承認(プラス財産とマイナス財産の全てを相続する)」をしたとみなされます。
・相続放棄をした者の子には代襲相続の規定は適用されません。
9.準確定申告(4ヶ月以内)
被相続人の死亡した年の1月1日より死亡の日までの所得税申告をします。
10.遺産分割協議の終了
遺産分割協議が合意に達した場合は、その内容を遺産分割協議書に「誰が」「どのような財産を」「どのような方法で取得するのか」を記載し、相続人全員が署名捺印し、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議が調わない場合には、家庭裁判所で遺産分割の審判をしてもらうことになります。
また、納税の方法、延納・物納の検討をします。
11.相続税の申告・納税(10ヶ月以内)
税務署に相続税を申告し、納税します。
12.遺産の名義変更・申請手続き
遺産分割協議書または遺言に基づいて、相続財産の名義変更の手続きをします。
(1) 遺言書の作成からその執行までのサポート
(2) 相続人及び相続財産の調査とサポート
(3) 相続トラブルでの交渉代理及び裁判手続き
相続人及び相続財産を確定し、相続人全員の合意で、遺産分割協議書を作成するまでには多大の労力と時間を要しているのが現実です。又、相続人同士の意思疎通が不十分で誤解を生み、その結果「争族」にまで発展して訴訟となるケースも増えてきています。このようなケースを防ぐための遺言の作成、遺言がなかった場合には、相続手続きがスムーズに進むよう、弁護士が万全の法的サポートを行います。
まずはご相談下さい。
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